一般的な重合度のポリ塩化ビニール樹脂(PVC)をベースに可塑剤を30部から100部以上の範囲で添加したタイプのフィルム・シートです。
求めるシートの柔軟性やショア硬度、機械特性を考慮して可塑剤の種類と比率を決定し、必要に応じて他の機能を付与します。
可塑剤比率を高めれば、より柔らかくなって高い伸び率や柔らかな手触りを得ることが出来ます。逆に可塑剤を減らせば硬くなって機械特性、剛性が高まり、硬質塩ビの風合いに近づいていきます。
PVC樹脂の重合度を上げればさらに多くの可塑剤や添加剤をホールドできます。これを応用し、たとえば同一のショア硬度になるまで可塑剤を増やせば、強度を下げずに高い伸び、ゴム弾性を確保できます。
このように塩ビの柔軟性、硬度選択は自由自在です。
自己消火性、耐久性という塩ビの最大の長所を生かしつつ、個々のニーズに適合する配合を設計し、そのうえで、サイズ制御、目視と計器による平均厚みや形状管理、表面管理を行い、シボ付け(エンボス加工)をほどこし、弊社独自の検査手法を加えてフィルム・シートを生産しています。
硬さ | 30~110PHR |
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製品厚み | 0.06~0.5mm |
製品幅 | 700~2180mm |
着色 | 自由 |
意匠性 | 自由 |
用途例 | ターポリン、アコーディオンドア、他建築資材、テープ・マスキング基材、他産業資材、冷却枕、玩具、日用品 |
標準的なPVC(重合度1000)のとき、DOP配合部数が80部、60部、45部、30部なら、ショアA硬度はそれぞれ、60、70、80、90となります。
工業用途ではショアAを柔軟性の判断とすることが多いため、以下に、同一のショアA硬度(同一の可塑剤部数)における軟質塩ビフィルムのモジュラス、伸び、引張強度、引裂強度の相関を示します。
※PVCを100としたときのDOPの割合を部数という。
ショアA硬度60 | ショアA硬度70 | ショアA硬度80 | ショアA硬度90 | ||
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測定項目 | 方向 | DOP 80部 | DOP 60部 | DOP 45部 | DOP 35部 |
100%モジュラス (N/cm2) |
縦 | 525 | 750 | 1200 | 1700 |
横 | 475 | 675 | 1125 | 1575 | |
伸び (%) |
縦 | 380 | 360 | 325 | 300 |
横 | 400 | 350 | 300 | 280 | |
引張強度 (N/cm2) |
縦 | 1850 | 2300 | 2500 | 3250 |
横 | 1650 | 1950 | 2200 | 2900 | |
引裂強度 (N/cm ) |
縦 | 475 | 625 | 750 | 1075 |
横 | 475 | 600 | 700 | 1100 |
試験方法:JIS K6732 試験温度:21±2℃
注)上記の値は弊社測定例であり保証するものではございません
同一重合度のPVCを使う場合、可塑剤が多いほどショアA硬度は低下しフィルムの柔軟性はたかまりますが、フィルム強度は低下します。
また同一粘度の可塑剤を使う場合、より強度を出すにはPVCの重合度をあげる必要がありますし、柔軟性を重視するならPVCの重合度を下げればよいわけです。
製品の設計においては、フィルムの柔軟性・手触り・風合いと、強度とがバランスするような硬度のみきわめがカギになります。
タツノ化学は、可塑剤、PVC、各種添加剤の適切な組合わせを考えて、ニーズにフィットした製品を設計しています。
PVCとEVAの長所を生かし、ABS・PS非移行性、低温での柔軟性と高周波溶着性、印刷適性をバランスさせています。
比較的重合度の低いポリ塩化ビニールをベースに、可塑剤を7~30PHR配合した硬めのフィルム・シートです。
重合度が低いPVCを使用するため、一定の柔軟性や硬度を得たいとき、一般軟質フィルムに比べて可塑剤は少量ですみます。
合板化粧フィルムなどの建築資材として使われる場合、実際には、機械強度、裁断性、張りあわせ、印刷適性を考慮して、高い硬度を選択します。
軟質フィルム・シートと同様にニーズにより添い、必要に応じて様々な添加剤を工夫します。
硬さ | 7~30PHR |
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製品厚み | 0.07~0.5mm |
製品幅 | 700~1450mm(これ以上はご相談) |
着色 | 自由 |
用途例 | 床材、建材、印刷用フィルム |
測定項目 | 方向 | 硬度25PHR | 硬度16PHR | 硬度7PHR |
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100%モジュラス (N/cm2) |
縦 | 2150 | 3050 | 2950 |
横 | 2000 | 2550 | 2650 | |
伸び (%) |
縦 | 300 | 235 | 260 |
横 | 295 | 245 | 240 | |
引張強度 (N/cm2) |
縦 | 4050 | 4000 | 4850 |
横 | 3600 | 3450 | 3750 | |
引裂強度 (N/cm ) |
縦 | 1250 | 1550 | 1550 |
横 | 1150 | 1300 | 1400 |
試験方法:JIS K6732 試験温度:21±2℃
注)上記の値は弊社測定例であり保証するものではございません
特定の期待性能に特化した機能を有するフィルム・シートです。
軟質・半硬質フィルムをベースに、塩ビ樹脂、可塑剤、添加剤、顔料の組み合わせにより、多様な機能を付与します。
機能 | 用途例 | 機能 | 用途例 |
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非移行性 | ケース類、屋根材、ウィンドウフィルム、粘着テープ | 低収縮 | 積層シート類、書類入れ |
耐寒性 | 寒冷地ターポリン・マット、冷却枕 | 無毒性 | メディカルケア製品 |
耐熱性 | 電器マット、面状発熱体 | 抗菌 | 文具、ブラインド、壁・床材料 |
難燃性 | 消防法適用品、車輌テープ、防炎幕、スクリーン、インタビューバック | 防黴 | 壁・床材料、冷却枕、雑貨 |
高弾性 | 高弾性玩具、水産合羽、血圧計、合羽 | 導電性 | 各種導電床材 |
耐油性 | 作業エプロン、ラゲッジマット | 帯電防止 | 静電気防止床材料 |
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